社員のモチベーションチェックの仕方
こんにちは。さくら橋社会保険労務士事務所 八木朋子です。
新年度がスタートしましたね。
新年度入社や人事異動があったりして、人事管理に忙しくされている事業所も多いのではないでしょうか。社員のやる気に満ちた表情を見ると、その気持ちをいつまでも持ち続けていただきたいと思いますね。
とはいえ実際は、人のモチベーションは一定ではありません。
入社・異動当初は新鮮だっだ仕事内容は、時とともに日常になっていきます。
最初はできて褒められたことが、やれて当たり前の世界になっていきます。目に見えないプレッシャーや人間関係に苦しんだり、やりがいや待遇のことで悩むこともあるでしょう。
こちら名古屋の事業主様からも「社員が会社に満足しているのか不安」「大丈夫だろうと思っていた社員が急に理由もなく退職したことがある。今後防ぐにはどうすればよいか」とご相談をいただくことがあります。
このような場合、解決方法を導き出すために、まず、事業主様お一人でもできる社員のモチベーションチェックをしていただいています。
「マズローの欲求五段階説」の理論、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
アメリカの心理学者A・マズローさんが唱えた、人の欲求はレベルアップし続けるという理論です。
マズローの欲求五段階説
欲求は5段階あり、最下層「生存欲求」から「安全の欲求」→「社会的欲求」→「承認欲求」とレベルアップしていき、すべてが満たされると最終的に「自己実現欲求」を実現したくなるというものです。
この理論は社員のモチベーションを考えるときに、非常に役に立ちます。
- 生存欲求
最下位の欲求。食事・睡眠・空気等、人が生きていくための本能的な欲求のこと。 - 安全の欲求
危険回避しながら安心して暮らしたい欲求。心身の健康・経済的な安定、社会福祉を求める。 - 社会的欲求
集団への所属や、仲間を求めようとする欲求。満たされないと、孤独感や不安感から心身に不調をきたすおそれがある。 - 承認欲求
他者から認められたい欲求。所属する集団の中で高く評価されたい。出世欲。満たされるとモチベーションが沸き起こり、成長の原動力につながる。満たされないと、劣等感、無力感につながりやすい。 - 自己実現欲求
①~④を満たした上での、最も高い欲求。自分が満足できる自分になりたい。より理想の自分に近づくため、自己を成長させる機会を求める。
御社の社員一人一人が、現在どの欲求を欲しているのか、図を見ながら考えてみましょう。
①「生存欲求」から③「社会的欲求」までは外的欲求(外の環境から欲求を満たそうとするもの)ですし、④「承認欲求」はモチベーションアップ戦略の一環として積極的に社員を評価している組織も多いと思うので、⑤以外は、客観的に推測できるのではないでしょうか。
最低賃金が守られ、残業時間規制のある今の日本の企業組織では、おそらく、下から2番までの階層(①「生存欲求」②「安全の欲求」)は守られている組織がほとんどだと思います。
意外と盲点になっているポイントが3番の階層(③「社会的欲求」)です。
③社会的欲求は、所属と愛の欲求と呼ばれています。「誰かと話したい」「受け入れてもらいたい」この欲求は、コミュニケーションなくしては満たせません。そして、この③社会的欲求が満たされていないのであれば、その上の④承認欲求を満たす策を行っても、モチベーションアップという面では意味がありません。
近年は社会的欲求が不足?
近年、コロナ禍を経てリモートワークが定着し、皆が直に集まるミーティングも縮小化する傾向にあります。また、人手不足により、上司からの最低限のフォロー体制の中、単独行動で働く社員も増えてきました。
コロナ禍が始まった2020年以降、リモートワーク勤務者の心療内科受診が増えたという報告もあります。
社員同士で集まる機会が少ない職場や、日常的に他の社員と密なコミュニケーションが図れない社員がいる職場の場合は、事業主様には、意識的に社員と定期的にミーティングやイベントを設けてコミュニケーションを図ることをおすすめしています。
そして、その際、事業主様や上司が一方的に話をするのではなく、互いを認め合うような対話で、質の良いコミュニケーションを心がけるとよいでしょう。
この図を使って社員のモチベーションチェックをしたときに、他にも満たされていないであろう欲求に心当たりのある事業主様は、意識して変えていけたらいいと思います。
④「承認欲求」の満たし方は、実に多くの方法がありますので、また折を見てお話しできればいいなと思います。
読んでいただき、ありがとうございました。
投稿者プロフィール
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さくら橋社会保険労務士事務所 代表
「組織を人から元気に!」をモットーに、労務トラブルを予防する細やかな労務管理、従業員のモチベーションに配慮した働き方の提案、組織を元気にする就業規則の作成など、トータルな関わり合いを通じ、組織の従業員満足度&定着率アップに貢献するため、日々励んでおります。
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