令和6年度 おすすめ「両立支援等助成金」

こんにちは。さくら橋社会保険労務士事務所 八木朋子です。

令和6年度に入り、雇用に関する助成金(厚生労働省管轄)がリニューアルされています。

本日は、その中でも取り組みやすい「両立支援等助成金」を紹介したいと思います。

(※こちらの助成金は、中小企業のみが対象です。)

・全部で6コースあり、代表的な要件と受給額は以下の通りです。

◆子育てパパ支援助成金

 …①男性労働者が5日以上の育児休業を取得

 →200,000円/人~

  ②男性労働者の育児休業取得率が30%以上上昇

 →最大600,000円

◆介護離職防止支援コース

…①介護支援プランの策定&5日以上の介護休業を取得
→休業取得時 300,000円/人
→職場復帰時 300,000円/人

   

  ②介護両立支援制度導入&利用実績

    →300,000円/人

◆育児休業等支援コース

  …育休復帰支援プランを策定&育休取得

    →育休取得時 300,000円/人

    →職場復帰時 300,000円/人

◆育休中等業務代替支援コース

  …①育休取得者の業務を代替する周囲の労働者に手当を支給

    →50,000円+手当の3/4

   ②育児のための短時間勤務制度利用者の業務を代替する周囲の労働者に手当を支給
    →20,000円+手当の3/4

   ③育休取得者の代替要員を新規雇用(派遣含む)

    →90,000~675,000円/人

◆柔軟な働き方選択制度等支援コース(New!)

  …育児期の労働者が利用できる制度を複数導入&利用実績

    →200,000~250,000円/人

◆不妊治療両立支援コース

  …不妊治療と仕事の両立のため利用可能な制度を導入&利用実績

    →300,000~600,000円

他にも詳細な要件がありますが、大部分で共通の要件としては、以下のようなものがあります。

・各制度の就業規則への明文化

・各制度の労働者への周知

・労働者との面談、各支援プランの作成

・一般事業主行動計画の策定、届け出 等

令和6年度 注目の「柔軟な働き方選択制度等支援コース」

上記「両立支援等助成金」のうち「◆柔軟な働き方選択制度等支援コース」は、令和6年4月に新設されました。

令和6年度助成金の看板とも言われています。
詳しく見てみましょう。

要件1.以下の、育児期(子が3歳~小学校就学前)の柔軟な働き方に関する制度を2つ以上導入

   ①フレックスタイム制度/時差出勤制度

   ②育児のためのテレワーク等

   ③短時間勤務制度

   ④保育サービスの手配・費用補助制度

   ⑤子の養育を容易にする為の休暇制度/

    法を上回る子の看護休暇制度

要件2.上記制度の利用について、プラン作成による支援を実施する方針の社内周知

要件3.労働者との面談プラン作成(業務体制の検討、キャリア形成を円滑にするための措置)

要件4.対象者が制度の一つ以上を、利用開始から6か月で一定以上利用したこと。

   (①~③は合計20日以上利用、⑤は合計20時間以上取得が必要)

支給額:制度2つ導入&利用実績
     →利用者一人につき200,000円

    制度3つ導入&利用実績
     →利用者一人につき250,000円

    ◎1事業主1年度につき5人まで申請可能

制度3つ導入し、5人が利用すると、5人×250,000円=1,250,000円の受給が可能です。

大きいですね。

この「両立支援等助成金」は、他の助成金と異なり、解雇要件(事業主都合の離職が一定期間ないことが、申請の要件となるもの)がありません。ですので、解雇等が理由で助成金を諦めていた事業所でも申請可能です。

なお、審査期間については、現在、名古屋を管轄する愛知労働局では、申請から受給まで約2か月とのことで、比較的短めです(令和6年5月時点)。

根強い人気「キャリアアップ助成金」

ちなみに…

従来から人気のある助成金といえば「キャリアアップ助成金」です。

代表的なコースは、有期雇用労働者を正社員化した場合に800,000円(中小企業)が支給されるというものです(R6.5月現在)。

ただ、近年は、下記の理由より、使いづらさが少し出てきています。

支給要件の難易度が上昇
(例:賃金増額が必須etc.)

審査が厳格化
(例:就業規則に記載のない手当が支払われていると×。etc.)

審査期間も長め
(愛知労働局で3~4か月)


最後となりますが、助成金は、労働局や社労士とよく相談しながら進めていただきたいと思います。

助成金は、制度導入のタイミングが重要で、段取りを一つでも間違えると受給できなくなることがあるためです。

また、就業規則に規定を追加する場合は、他の規定との整合性に注意してください。

本日も、読んでいただきありがとうございました。
ご不明点がありましたら、いつでもご相談ください。

◇以下、厚生労働省のHPより


※中小企業の定義はこちらでご確認ください

「中小企業の範囲」

・両立支援等助成金についてのリーフレット

「両立支援等助成金」                

・キャリアアップ助成金のリーフレット

「キャリアアップ助成金」

投稿者プロフィール

八木朋子
八木朋子社会保険労務士
さくら橋社会保険労務士事務所 代表
「組織を人から元気に!」をモットーに、労務トラブルを予防する細やかな労務管理、従業員のモチベーションに配慮した働き方の提案、組織を元気にする就業規則の作成など、トータルな関わり合いを通じ、組織の従業員満足度&定着率アップに貢献するため、日々励んでおります。