「週10時間以上」勤務で雇用保険に(令和10年10月~)

雇用保険法の改正が決定しました。

現在、雇用保険の加入義務は週20時間以上勤務の労働者ですが、こちらが「週10時間以上」となります。(令和10年10月~)

これにより、今まで雇用保険未加入だったパート労働者(約481万人)が雇用保険に加入することになります。

施行期日はまだ先ですが、大きい変更ですね。                

現在、週20時間未満の従業員が多くいらっしゃる事業所は、注意してください。

なお、ダブルワークで、2つ以上の事業所でそれぞれ週10時間以上働く方は、メインの事業所のみで雇用保険に加入することになります。

週10時間勤務で、雇用保険料はどのくらい?

週10時間以上勤務の方が新たに雇用保険に加入した場合、どのくらいの負担になるのか、計算してみましょう。

現行の保険料率は15.5/1,000(一般の事業)。

このうち、事業主負担分は9.5/1,000、従業員負担分は6/1,000です。

【計算式】

(週10時間→)月約43.5時間勤務×1,027円(R6愛知県 最低時給)=賃金44,675円/月

賃金44,675円×15.5/1,000=雇用保険料692円(事業主424円 + 従業員268円)/月

雇用保険料692円×12か月=8,304円(事業主5,088円 + 従業員3,216円 )/年

毎年行う年度更新(労働保険料の申告作業)で、私はいつも思うのですが、雇用保険料って、高いですよね。

給与から毎月少しずつ天引きしている雇用保険料一年間分を合計し、そこに事業主様負担分も合わせると、結構な額になります。

雇用保険加入でメリットも

事業主様、従業員双方にとって負担が増える雇用保険加入。

ですが、従業員の方にとっては、加入することで、メリットとして以下の給付が受けられます。

・失業手当(月6日以上勤務×12か月が要件。賃金日額の45~80%)

・育児休業給付金(月6日以上勤務×12か月が要件。賃金日額の50%~67%)

・教育訓練給付金(厚労大臣指定の教育訓練を受講。費用の20%~80%) など   

※( )内は令和10年10月からの要件です。

令和10年10月からは、失業手当の給付制限期間(自己都合退職の場合に、手当をもらうまでの期間)が現行の2か月から「1か月」に変更するため、失業手当がより受給しやすくなります。

また、育児休業給付金は、子供が原則1歳になるまで継続的に受給できるので、子育て世代のパート従業員には頼りになる存在です。

従業員が雇用保険に加入する際には、制度を活用できるよう、メリットもお伝えするとよいと思います。

投稿者プロフィール

八木朋子
八木朋子社会保険労務士
さくら橋社会保険労務士事務所 代表
「組織を人から元気に!」をモットーに、労務トラブルを予防する細やかな労務管理、従業員のモチベーションに配慮した働き方の提案、組織を元気にする就業規則の作成など、トータルな関わり合いを通じ、組織の従業員満足度&定着率アップに貢献するため、日々励んでおります。